まえがみをきろう

ただのOLのただの備忘録

またな、ミュージカル『憂国のモリアーティ』

 


大千秋楽が無事に終了した。

 



 

本当に、奇跡のような20公演だったと思っています。

「この数ヶ月間は、稽古をしては中止、稽古すらも始められないまま中止。お客さんもチケットを取っては中止、この舞台もあの舞台も…と繰り返してきた中で、もしかしたらモリミュも出来ないのではないか…、と思うこともあった」と鈴木勝吾さん(ウィリアム)のカーテンコールの言葉(例によってめっちゃうろ覚え)。

本当にこの半年間は、期待しては絶望しての繰り返し、仕舞いには期待することすらしんどくなってしまって、ともすればもう一生劇場で舞台を見れないんじゃないかと思うこともありました。

そんな中、出来得る限りの対策を尽くして迎えられた初日、いつ中止になるかも分からない中やりきった東京公演、あと3日となりひょっとして完走できるのではと少しの期待が出てきた京都初日、そして、大きな拍手と多くの涙で幕を閉じた京都大千秋楽。奇跡の連続を共に経験させていただきました。

 

 

さて、大千秋楽を終えて思うところがありすぎるので、この思いを忘れないうちに文字にしようと思います。(ひとつの舞台で3つもブログ書くって正気か?いよいよとち狂ってないか?)

 

 

◆京都大千秋楽を終えて

まず、ひとつ前のブログでも触れている、東京公演休演日前後での進化がさらに進化していてびっくりした。

 

tadaol.hatenablog.com

 

tadaol.hatenablog.com

 

ウィリアムはたった1人でどこまで行ってしまうんだろう?東京千秋楽から比べて、さらに儚さと力強さと、なんかもう色々が増しててエモい。(語彙力の欠如)

バスカヴィル殺しの♪悪魔よ〜地上から去れ〜はとても力強く得意の高音で高らかに歌い上げたかと思うと、その後の♪月夜の誓い〜ではしっとりと美しく感情を込めて。さらに続いて列車内の♪Catch  me if you can〜では少し挑発するように楽しそうに、でもその後を見込んで期待も交えて(その後というのは原作#47のことですね…)、そして1幕ラストでは民衆に思いを寄せて嘆くように切なげに………。

鈴木勝吾さん、そもそも歌が上手いので今回も絶大なる信頼しかなかったんだけど、今回は前作以上に、シーンによっての見せ方を会得されたみたいで、もう完全無欠のウィリアムなんだよな…。えーんOp.3が楽しみすぎる。

 

 

そして、京都で進化したといえば、平野良さんのシャーロックもめっちゃくっちゃ素晴らしかったです。私本当に、狂ったシャーロックがものすごく好きで。『二人の探偵』の冒頭なんか薬中そのものじゃないですか(それは違う)。その狂い方が東京と比べて3倍増しくらいになっていて、見ていてとても興奮した。シャーロックにとっては“謎”がクスリで、それを提供してくれる犯罪卿はある種の救世主というか………。本当に、常に謎を摂取していないと生きられない体なんですよね、で、謎を目の前にすると我を忘れて興奮する。本当に平野さんの演技が怖いなと毎回思ってた。

純粋に、めちゃくちゃ素晴らしい役者さんなんだなと改めて感じました平野さん。たぶん生で見たのは『さよならソルシエ』くらい…?(初演も再演も劇場で見たはず)文劇とママ僕は自粛期間中に配信で見た。本当に芸達者なお方だなと…。彼のシャーロックじゃなきゃこの舞台は成り立たなかったし、鈴木さんのウィリアムの相方が平野さんのシャーロックでよかったと心から思った。

 

ああもう、この調子でキャスト全員について思いを書き殴りたいんだけど、それも長くなりすぎるのでシーンごとに気づいたことを書いておこうと思います。

 

まず京都で初めて気づいたこと。何回見てんの?って感じなんだけど、大千秋楽にして初めて思い至ることもいっぱいあるんだなあ。

 

まずいちばん大興奮したのが、マイクロフト長官とアルバートの、アイリーン抹殺を命じるシーン。東京公演では下手の住人だったので気付かなかったんだけど(本当に、銀河劇場1階下手ブロックに住民票移せば?てくらい下手前方のチケットしか取れなかった)、2人が♪これは踏み絵〜(激しくうろ覚え)って歌ってるところ、上手の方でアンサンブルの方がガンガン戦ってるんですね?!これ、静かに厳かに歌っているマイクロフトとアルバートが、実はお互いの腹の中を探ってバッチバチにやり合ってるっていうのが出ててとても興奮しちゃった。こういうのめちゃくちゃ好き…。古のおたくなのでこういうのめちゃくちゃ好きです(?)

 

あとは、ことあるごとにモリアーティ3兄弟が三角形を作るのもとても良かったですね…。バスカヴィル前の兄さん(ウィル)大好きソングとか、マスカレードの♪これは全て犯罪卿のジェームズ・モリアーティが企てたことなんです、とか。ウィリアムが策を企てて、アルバートが自分の権力をもってその策に協力して、ルイスが実働する(実行部隊になるまでに葛藤もあったけど…、あともちろんウィリアムも動くけど)っていう、一見するとウィリアムのパワーバンランスが強いんだけど、この3人はあくまでも、「3人で“ジェームズ・モリアーティ”」なんだよね。それがステージングで綺麗に正三角形になっているのが上手いなあと思った。シーンによってはウィリアムが頂点だったり(バスカヴィル前)アルバートが頂点だったり(マスカレード)して、それぞれの関係性を表していてとても良い。

当たり前だけどこの3兄弟、長男と次男&三男は血が繋がってないんだよね…。奇妙な関係だけど、背負っている罪は同じなんだ。ああ、すごい、えもい。。。(えもいと言っておけばいいと思っている)

 

 

最後に、アンサンブルさんについて語らせてください。前の記事でも書いたけど、モリミュOp.2のMVPは間違いなくアンサンブルの方々だと思っています。本当に、ひとり何役もお疲れ様です。ステージ上が貧民街になったり、列車になったり、オペラ上演中の劇場になったり、モリミュの世界観は全て彼らで作られていると言っても過言ではない。12人のアンサンブルキャストの方々が、100人にも見えます。それくらいおひとりおひとりが光を放って輝いて、ただただすごいなあ、と。

 

いきなりだけど、私個人的にウィギンズがとにかく好きで。いや自分が生意気なショタが好きということもあり…つまりはショタコンというだけなんだけど。シャーロックに絡みに行くのとか、「朝っぱらから呼び出して何なんだよ、金は?」ってだるそうに来たかと思ったら、大仕事を頼まれるとパッと切り替えてイレギュラーズのリーダー発揮したり…。クソ生意気なガキかと思ったらやる時はやる感じ、どストライクなんだよね、まあ詰まるところ私がショタコンという話です。イレギュラーズの仲間たちが登場したのもとても美味しかったです。ありがとうございました。

それにしてもウィギンズ役の伊地華鈴さん、とても好きだなと思った。たぶんケイト(アイリーンが助ける児童劇団の子)もやってらした…?お調べしたら身長149㎝っていう小さな身体で、あんなにステージ上で存在感を放っているの、とても素晴らしいなあと思って前作から見ていました…。

あ〜〜〜かわいい。好きが溢れる。

生意気かわいいウィギンズをこれからもどうぞよろしくお願いします。

 

 

 

ともあれ、全公演、本当にお疲れ様でした。

カーテンコールで平野さんが例のごとく「またな、観客者(観劇者だったかな…?)」と仰っていたので、きっと次回作もあることでしょう。

できることなら次回はやっぱり再演をやってほしいなあ。このご時世で出来なかった演出もあると思うので。次回のOp.2再演では、私たちは列車の乗客にも、オペラの観客にも、教会を包囲するハリボテ警官にもなれるはず。

あとは何よりも、このご時世で観劇を断念した方にも絶対に生で見てほしいし、キャストにも満席の劇場と全力の拍手を浴びてほしいなあと思います。

 

 

 

 

そして、モリステ、モリアニからこんなサプライズもあったんですね?!

 

憂国のモリアーティ』がもっともっと盛り上がりますように。

 

 

最後になりましたが、全公演、本当に本当にお疲れ様でした。この奇跡の目撃者になれて、幸せでした。

ありがとうございました。